ここ数年、マダニに噛まれたことが原因による感染症での死亡例がニュースに取り上げられています。
2017年、今年も6月7月、このふたつきでマダニに噛まれたことによるウィルス感染で亡くなられたケースが報告されています。
恐ろしいマダニ被害ですが、マダニは思っている以上に身近に、環境によっては自宅の庭にも多く潜んでいるような状態でいつ噛まれてもおかしくない状況であったりもします。
今一度、マダニに噛まれた際のウィルスの潜伏期間や感染したらどんな症状があるのかを知っておきましょう。
マダニに噛まれウィルス感染が原因の死亡例
人間を死に至らしめる恐ろしいマダニ保有のウイルス、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は2011年に、中国の研究者によって発表され、日本では2013年に初めてSFTSウイルス感染症の患者が報告されています。
日本での死亡例は、2013年3月から2017年6月までのマダニの感染症の被害報告数266件のうち57例とのこと。
マダニに噛まれたことによるウイルス感染症の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、主に西日本で時期は毎年5月~8月に多く、患者の年齢は60代以上が多いです。そのほとんどが草むしり、畑仕事や農作業、山へ出かけたりした数日後に発症しています。
また、西日本での被害が主な重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ですが、北海道ではウイルスを保有したダニに噛まれたことでダニ媒介脳炎を発症し、2016年、2017年の2年で2名亡くなられています。
ニュースで見聞きするマダニに噛まれたことが原因での死亡例を見てもすべてが高齢の方のケースですが、子供の死亡例(20歳以下)は報告されていないとのこと。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などダニ感染症は子供に比べて免疫反応の関係で大人の方が、重症化すると言われています。
国立感染症研究所様のこちらのページに、マダニ感染の分布や時期、死亡例数など詳しい情報が掲載されています。
マダニに噛まれて感染した場合の潜伏期間
まず、マダニに噛まれると必ずウイルスに感染するわけではありません。数%の確率でいると言われいているウイルスを保有するマダニに噛まれた場合に感染します。
潜伏期間はマダニに咬まれてから6日~2週間といわれていますが、早いとマダニに咬まれてから4日ほどでリンパ節が腫れたりの症状が出るケースもあります。
知らないうちにマダニに咬まれ、すでにマダニが吸血し終わり(マダニは10日ほど吸血し続けると言われています。)体から離れて、さらに咬み跡もなく。と、知らないうちに潜伏期間が過ぎて発症し、体長を崩し受診後にの血液検査等でウイルス保有のマダニに咬まれていたことを知る。というケースもあります。
約6割り以上が、マダニに咬まれたことに気付かないまま、咬まれた跡もないままに発症している、とも言われているマダニの感染症。何も気づかないまま潜伏期間を過ぎ、発症してから『マダニに咬まれていた』ことを知る、という確率が高いのです。
マダニが身近に生息する環境や、アウトドアレジャーなどの後は、シャワー中やシャンプー中、入浴中に自分自身で肌の手触りや鏡でマダニがついていないかしっかり確認し家族間でもしっかりチェックし合うことをおすすめします。
マダニに噛まれて感染したらどんな症状があるのか
発症したら致死率が高い『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の症状』はほぼ100%で発熱があり、38℃以上の高熱になることが多いようです。
そのほか、消化器系の症状もあらわれます。
【 SFTSの症状 】
●発熱(38℃以上)
●吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、下血 など
●血小板減少、白血球減少
2016年、2017年と続けて死亡例が報告されている『ダニ媒介脳炎』は二つの発症例で死亡が報告されています。
ダニ媒介脳炎は蚊媒介の日本脳炎と同じウイルスによる脳炎で、ロシア春夏脳炎、中央ヨーロッパ型ダニ脳炎の二種類が主なダニ媒介脳炎といわれています。
名前の通り、ヨーロッパに多いダニ媒介による感染症です。
症状はそれぞれ少し違い、『ロシア春夏脳炎』では潜伏期間が過ぎると
●発熱
●頭痛
●嘔吐
が初期の症状としてあらわれ、その後、精神錯乱等の意識障害が見られるとのこと。
一方『中央ヨーロッパ型ダニ脳炎』では二相性の病状があり
●発熱
●頭痛
●筋肉痛
など、インフルエンザのような症状が一週間程度第1期の症状として、約半数でみられるそう。
この症状は短い場合やないケースもあるようで、第二期の症状ではインフルエンザのような症状がなくなり、
●痙攣
●麻痺
●めまい
の症状があらわれるとのことです。
北海道でダニ媒介脳炎で亡くなられたかたは、発熱の後に意識障害が出ていたといわれています。
ほかダニによる感染症の『ツツガムシ病』『日本紅斑熱』『ライム病』があります。
『ツツガムシ病』『日本紅斑熱』は治療に有効な抗菌薬がありながらも、受診しないまま放置したりなどで重症化すると命にかかわります。
どちらも発熱、頭痛、倦怠感、リンパ節の腫れなどの症状がありますが『発熱・発疹・刺し口』が主要な特徴といわれています。
『ライム病』は紅色皮疹、頭痛、関節痛などの症状がありますが皮膚の症状が特徴的です。
さいごに
中国で2011年に中国の研究者によって発表された重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ですが、マダニは昔からいたはずなのに、なぜ突如としてマダニによる死亡例が毎年日本でもニュースで知らされるようになったのでしょうか。。。
以前は、わたし個人的にも「マダニはペットが気を付けるべき虫」という認識でいたのですが、今ではマダニは人間の命をも脅かす恐ろしい虫、という位置づけとなりました。
しかし、マダニに咬まれたことによる感染症での死亡は、実はひと昔前までは「原因不明の症状」「謎の死」なだけであって、それらがダニが原因であったということが分かり始めたのが最近のことだからということに過ぎない、ということなのですね。
将来的には予防接種や特効薬が開発されるのだと思いますが、早く研究が進めばよいな、と願います。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)については特に、噛まれないようにするしかないので、とにかく、マダニがいそうな場所での活動はお気を付けください。
長袖長ズボンに帽子で防御し、シャワー時、シャンプー時、入浴時等にマダニがついていないか注意することで、もしついていてもすぐに発見できます。
症状や対処法、予防、駆除や感染症、犬の取り方などマダニの記事のまとめはこちらです。
>>> マダニ記事一覧